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〈H×H 長編〉暗殺一家の嫁

第31章 依頼3


翌日、いつものようにハンター協会のデスクにつき 手元のノート型パソコンを使い仕事をしている所にパリストンがやってきた。

「リネルさん、今日は大事なお客様が来るんですけど そろそろ来るかと思うので応接室までご案内してもらえますか?」

「お客様……ですか?」

「ええ。後ほど僕も行きますのでそれまでお相手をお願いします」

客人が来ることはさほど珍しい事ではない。
にっこり笑うパリストンに向かい頷いた後、リネルは言われた通りに協会最上階の受付へ、客人を迎えに行った。



「よぅ、小娘」

「わっ お客様ってジンさんだったんですか!びっくりしました」

「常に円使ってこの敷地内全員の気配くらい把握しとけ」

「あのですね、この協会の総面積いくつあると思ってるんですか?!」

「それくらい素でやれっつってんだよ」

「ジンさんレベルじゃなきゃ出来ませんて!」

意外とも想定内とも言える客人にリネルは駆け寄った。ジンは備えられた椅子から立ち上がると からかうような笑みを浮かべてリネルを見返した。

「結婚したらしいじゃねーか。おめでとさん」

「あ、ありがとうございます」

「しかし自分から墓場に足突っ込むなんざ若いのにご苦労なこったな」

「……でも、結婚もそこまで悪くないかもですよ?人脈や世界が広がるというか何というか」

「いきなりノロケかよ。他所でやれ」

「別にノロケてませんっ!!」

リネルはジンを応接室へ案内した。
殺風景でシンプルな部屋だが、壁にかけられるデザイナーが手掛ける絵画や家具の類いはそれ相応の高級品が使われている。窓からの景色も最高だ。上座へ案内しようとすると ジンは手前の椅子を自ら引きそこへ腰を下ろしてしまった。

ハンター界では五指に入る有名人であるジンは、今でも時折ハンター協会を出入りするので リネルもこのように会話をする機会があった。
リネルの事を小娘呼ばわりし何かと突っかかる物言いも多いが、経験豊富な大先輩でもある。ジンの話は興味深いものが多かった。

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