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〈H×H 長編〉暗殺一家の嫁

第28章 3ヶ月後


「邪魔しないで」

「邪魔してるのリネルだろ」

怯まず無理矢理奪おうと腕を伸ばした。上半身を使う体制にまでなってくるとその反動でバランスを崩し、イルミの上に被さる格好になってしまった。
イルミは本を無造作に置くとリネルの身体に手を回し 一気に距離を詰めてくる。

季節柄、寝着は薄い。
しっかり厚みのあるイルミの身体の感触が半身に伝わりリネルは一瞬眉を上げる。そしてすぐに、イルミの黒い目を睨みつけた。

なにも本気でこのまま本を読み続けるつもりは無い。
だが、これは久しぶりに帰宅したかと思えば飄々とした態度を崩さず こういうコトも予測済みと言いたげなイルミへの、リネルなりの細やかな抵抗なのであった。

首の裏に回る掌に引かれ、いよいよ身体が密着する。
首筋にふと、唇が触れた。
微かに得るじんと緩い感覚を無視し、リネルは両手をイルミに伸ばす。細い指をイルミの首に回し わざとらしく親指の腹で喉仏を圧迫しながら言う。

「これから殺し方が決まるイイ所なんだから」

「へえ」

イルミは興味なく返事を返し、容赦なく服の中に手を滑らせてくる。腰元から腹、胸までを辿られると ぴくりと背中に妙な力が入ってしまう。広い掌はしっとり胸を包みにかかる。

「暗殺について知りたいならオレが教えてあげる。何が知りたいの?」

イルミの指先はすぐに先端を探し出しそれをやんわり押し込められた。リネルは表情を崩さぬよう眉間を寄せる。先程本で見た単語をぽつんと口にした。

「MK23」

「殺傷力はそこそこだけど暗殺となるとサプレッサーも必要だし持ち歩くにはちょっと大きいかな、グロック18Cあたりがお勧め」

「…………」

「他には?」

いつの間にか寝着は乱され 片方の肩は大きく外気にさらされていた。

「っ……」

先をまるく捏ねられていると流石に気持ちが揺らいでくる。敏感な部分は既に硬度を持ち、きゅんと愛らしい主張を見せている。
漏れそうになる吐息をなんとか嚙み殺し 視線を真下のイルミに落とせば、互いの鼻先が触れそうになってしまう。

耳から肩を伝い さらさら落ちるリネルの髪を、イルミはひと撫で梳いてくれる。

「もういいの?」

「……あとは……」

その後は成り行きだ。久しぶりの夜を過ごす事になった。

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