第27章 帰還
「リネルさん!お待ちしてましたよ」
「なんですか……この紙の、資料の、メディアの山は……」
「ああ、これですか。
いやーリネルさんのいない間にちょっとした事たくさんありましてね?
ハンターのご意見サイトのサーバーにウイルス侵入したとかでダウンしちゃってその復旧にまずネット調査からやらないといけないですし、次期試験のメニューもそろそろ絞り込み必要なんですがその企画案がそもそも全っ然まとまってなくてそれも集めないと最終的に決定出来ないし、現存ハンターと過去ライセンス取得者の割合出したいので全情報のリスト化と数値化をピヨンさんにちょっとお願いしたらあの人3分でサジ投げちゃうし、新しい十か条についてはまだ浸透が薄いのでその普及に通達出したいんですけどクルックさんに頼むにしても思えばそもそも文面から作成しないといけないですしなんせ量も多いので手配も大変ですし、これはおめでたい事なんですが新しい遺跡の発掘なんかもあって我々協会からの支援金援助申請も来てるんですがきちんとどんなものか調査してからでないとお金なんて出せませんしかと行って僕がここ空けて出ちゃうとこういう雑用捌く人いないのでますます溜まる一方だし、他にも」
「もういいです………………」
ぽつりと諦めの声を落とすリネル。パリストンは頬杖をつき 満足そうな笑顔を向けた。
「戻ってきてくれて本当によかった。やっぱりここはリネルさんがいないと全然回りませんから」
「もっと人雇って下さいよ」
「今は結構資金繰り大変なんですよ?!あ、それで思い出しましたけど来期予算で新しく何を運営するかの企画書も、」
「わかりました!わかりましたよもう」
口をへの字に曲げるリネルに パリストンは笑顔を向けた。
「いかがでした?久しぶりの連休は」
「チョット新婚旅行に行ったので 一応お土産です」
「わざわざありがとうございます。ということは僕の結婚祝いが早速大活躍したわけですね、実際どうでした?」
「なっ?!……チードルさんに相談させて頂こうかな きわどいコト聞かれますって」
「あ、それは勘弁して下さいって!」
こうして、世間的には新婚ほやほやのはずのリネルの日常は 仕事に追われながら過ぎてゆく事になった。