第27章 帰還
嫌味にも似たツッコミを返せた自分はやはり疲れているのだろうか。リネルは改めて、シルバを正面から見る。
「でも……おかげさまで多少なり親睦は深まったかとは思います」
「そうか。ならば行かせたかいがあったな」
「どうもありがとうございました。」
目元を綻ばせるシルバの顔を見て、旅行の終結にようやく大きな安堵を覚えた。
「でもこれから仕事だなんてハードですね。イルミもあれで結構疲れてると思いますよ?」
「ビジネスとプライベートは全く別だからな。家族になった以上お前にも仕事については我が家のため今までよりもシビアにやってもらうぞ」
「えっ?!これ以上?!」
「これが我が家のルールだからな。他にも覚えてもらうルールはいくつか出てくると思うが?」
「……心得ました。」
家族なのだからさも当然、との様子で言い放つシルバの潔さには感服するしかなかった。
内心溜息をつきながらも、ここまで打ち解けた話が出来た理由が 「家族として」であるならば 素直に嬉しさを覚える。
ふと、シルバが話題を戻してくる。
「そうだ、写真は確認したが土産物は全て揃ったのか?不達成であれば当然やり直しだぞ、内容も濃くしてな」
「……イルミの言う通りですね」
「なに?」
「いえ。漏れはないです。きっちり耳を揃えて」
最後の一言は特に、はっきり滑舌よく答えた。
◆
そして。
あっという間の三連休も終わり リネルは久しぶりにハンター協会に顔を出した。
まずはパリストンのもとへ土産を持って顔を出した瞬間に リネルの顔は大きく引きつることになる。
「…………なっ…………?!」
デスクの上に高々と積まれた資料の山、山、山。
その中から、ひょいと顔を覗かせるパリストンの明るい声が響いた。