第25章 新婚旅行2日目
無事、指定の観光スポットに到着した。
天然石が波と雷により削られて造られたと言う大きな岩には、紅い紐が結わえられていた。その形はなんとなくハート型に見えなくもなく、ここではラブポーションロックと呼ばれ 愛の象徴とされているらしい。人気の理由はこれかと理解し、くるりと辺りを見渡した。
写真を撮り合うカップルや現地の露店の雰囲気でワイワイと賑わっている。
「うわあー 人すごいねー」
「で、どこで撮ればいいの?写真」
「えっと、あのハート岩をバックにしてだから……」
デジタルカメラは持ち合わせていないので、リネルは携帯のカメラ画面をセットした。
イルミと2人で 寄りそっての自撮りモードは流石に思い切り顔が引きつりそうなので、辺りをきょろきょろ見回した。
ちょうど前には同じ年齢くらいの男女の集団がいる、リネルはそこへ近付き声をかけた。
「あの、すみません!写真を一枚撮ってもらえませんか?」
「おっ、いいぜ」
リネルの声にすぐに反応したのは長身の男だった。2人はすぐに目を見合わせる事になる。
「レ、レオリオ?!」
「リネルちゃん?!マジで?!」
そこには、普段のスーツ姿ではなくラフなシャツを着込みすっかり旅を満喫している様子のレオリオがいた。
ネテロ後の次期会長選挙時以降、ハンター協会を出入りしているレオリオとは時々会う事はある。
だがまさか、こんな場所でばったりとは思いもよらず リネルは大きくまばたきをした。
「ビックリしたぁ……何してるの?彼女とお忍び旅行?」
「だったらいいけどな、残念ながら医大の同期と呑み旅行」
「ならなんでわざわざこんな所に……」
「まあ未来の予行練習も兼ねてな。……つーか……」
レオリオの表情は派手に固まっていた。
リネルの隣にはもちろんイルミが立っている。レオリオは2人の顔を交互に見て、気まずそうに言った。