第25章 新婚旅行2日目
「効率的に手分けして探そう。売ってると思われる店舗は7割くらいは昨日調べてメモっておいたの」
「やるね」
「イルミはノースフロント担当ね、私はイーストフロントを回るから。ご家族の皆さんには私が適当にお土産選ぶね」
「いいよ。わかった」
「あ、あと!……カルトの分のお土産はイルミが選んであげたら?」
「なんで?カルトだけ?」
「いや、……末っ子だからお兄ちゃんチョイスの方が喜ぶのかなーって。……うん そうだ!弟さん達のお土産は全部イルミに任せるね」
これでほぼ均等に仕事の割り振りも出来ただろう。
イルミと待ち合わせの時間と場所を決め 別れてから、リネルはリストアップされる土産を順に見つけつつ、その合間にパリストンやビスケへの土産も買い込んでゆく。
「……ラスト、これだけがわからない…… “誓いの貝殻”ってなに……」
一つだけ“誓いの貝殻”なる商品がどうしても見つからなかった。定員に聞いてみても 取り扱いはないとの事、困惑の中でイルミに現状報告を入れた。
「もしもし?イルミ、どう?」
「終わったよ。全部」
「良かった!私の方はあと一個だけが見つからないの、ここにはないみたいで……」
2人は一度合流する。誓いの貝殻はとりあえずとばし、雨が降る前にと次の写真スポットへ向かう。
レジや交通機関が混んでいたりと、時間は予定よりもかなり押していた。現地の路線バスの最後部席に揺られながら リネルはイルミに言った。
「ねぇ、誓いの貝殻は品切れでしたで良くない?」
「今回のこの旅行は親父からの“指令”だよ。それをこなせないっていうのは大ごとになる可能性がある」
「え……」
「やり直しはもちろん、内容も2倍3倍になるケースも考えられる」
「嘘……」
「下手すればしばらく独房行き。オレもこんな指令出されたの初めてだしわからないけど」
状況を諦めているのか、すんなりそう答えるイルミを見てリネルの不安は大きくなる。
何が何でも、全てを終わらせて帰還せねばならないらしかった。