第25章 新婚旅行2日目
翌朝。
リネルはベッドの上で目を覚ました。
身体の節々に痛みはあるが気分自体は悪くはなかった。ゆっくり起き上がり広い部屋をくるりと見渡した。
ソファに座るイルミの後頭部が視界に入り 誘われるようそこに近づいた。イルミは既にきちんと支度を終えているし 髪も服も、普段の通りで卒がない。朝のテレビニュースを見ている様は少し物珍しかった。リネルは窓の外を見ながら言った。
「天気悪いね。雨降りそう」
「リネルの日頃の行いが悪いからじゃない?」
「なにそれ、私のせいじゃないでしょ」
徳のある人生とはもちろん思えないが そんな理由を付けられても困りものだ。
リネルはイルミの隣にちょこんと浅く腰掛けた。イルミはリネルに目を向ける、じっと見降ろしながら不思議そうに言う。
「何してるの?」
「え?別に何ってわけでもないけど……」
「早く支度してくれない?やること終わらせて帰りたいんたけど」
リネルは苦笑いでそれに応えて、急ぎ支度に取り掛かることになった。
朝食はホテルで済ませてから外に出れば、いよいよ旅行2日目が本格的にスタートする。どんよりした曇り空の下で、2人は早速 旅の指令を開始する事になった。
リネルは渡されていたファイルからガイドブックを取り出した。それを携帯のマップと見比べながら言った。
「動線を考えるとここのショッピングモールでお土産全部揃えてから、ここまで移動して写真を一枚。そこから空港向かえばうまく行けば昼過ぎくらいには出れるかも」
「へえ、いつ調べたの?」
「行きの電車の中で」
「今回初めてリネルを見直した」
「それはどうも」
嫌味を隠した満面の笑みでそう答えて、早速 土産を求めてショッピングモールへ向かった。
そこはかなりの広さがあり、観光客で賑わっている。リネルは土産がずらりとリスト化されたメモを写メに撮り それをその場でイルミの携帯にメール送信した。