第1章 デアイ、ハジマリ。
春野 楓は、今年十八になる、高校三年生の女である。
東京で一人暮らしをしているが、彼女について詳しく語るのは、また後ほどにしよう。
そんな彼女は、朝の六時に起床した。まずは、顔を洗い、歯磨きをする。朝食を作り、一人で食べる。
それが楓にとっての今となっては当たり前の朝の風景になっている。
そして、制服に着替えながら、パソコンをチェックする。今日はまだ依頼は入っていない。
楓には、周りの人間には話せない、裏の顔がある。
「吉村」。その男の情報を得る為に便利屋を営んでいる。それはペット探しなどの可愛い依頼もあるが、時には人を殺める事もした。彼女は容姿端麗、成績優秀。あらゆる武術に長け、銃などの扱いもお手の物だ。それは、彼女自身の「憎しみ」によって肉づいたものであった。
「さて、行くか」
そろそろ学校に行く時間だ。楓は教科書とノート、筆記用具の入った重い鞄を背負うと、家を出た。
彼女が住んでいる一軒家は、三階建ての割と豪華な家だ。これは父親が意気揚々と購入したマイホームであり、ローンは払い終わっている。だが、楓が一人で住むには、相応の広さではない。二階と三階は掃除はしているものの、殆ど使っていない。
玄関を出ると、楓は驚いた。
ドアの横で、男が横たわっていたのだ。