第3章 コイノメバエ。
「じゃあ、おやすみ」
夕飯を食べ、風呂に入り、いつものくつろぐ時間が終わり、そろそろ就寝時間となった。楓はいつもどおり自分の部屋に行こうとする……が、それはロキによって妨げられた。
軽々と、楓を担ぎ上げたのである。
「ちょ、なんだよ!?」
「これからは一緒に寝る」
「勝手に決めんな!」
「嫌か?」
「う……嫌じゃ、ないけど」
「今夜も可愛がってやろう」
「欲求不満なのか!?」
「私も男なものでな」
理にかなった言い分ではないが、楓はロキが自分を求めてくれている事に、何かくすぐったさを感じた。
「女なら誰でもいいとかじゃないよな?」
「それをもう一度言ったら、眠れなくなるまで犯すぞ」
「ごめんなさい」
楓の寝室では、荒々しい息遣いと、甘美な声が響いていた。
「見ーつけたー」
不気味な笑みと、不気味な声が、日本のあるアパートの暗い一室で押延べられていた。
3章 完