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イチバンノタカラモノ。

第3章 コイノメバエ。


「……んー……」
どうやら寝入ってしまっていたらしい。時計を見ると、もう夜の九時を回っていた。楓が体を起こすと、布団が落ちる。何気なく下を見ると、何も身に纏っていない。隣では、ロキが静かな寝息をたてている。
「……うおおおお!!」
「なっ、なんだ!?」
楓の雄叫びに、ロキが目を覚ました。
「どうしたのだ?」
「えっと、あれ?あの、裸で……えっと……」
状況が整理出来ず、しどろもどろな楓だったが、段々と記憶がはっきりしてきた。ロキに告白をし、キスをし、それからロキに寝室まで運ばれて……
「……や、やっちゃった?」
「あぁ。交わった」
「うぁぁぁぁ!」
「痛い」
ばしんばしんと楓はロキの肩を叩き続ける。付き合う事になったその日に体の関係を持ってしまうとは何事か、いや、それよりも大事な初体験をこの男に捧げてよかったのか、いやいや、そもそも想いは伝えたが付き合う事になったのだったか……ぐるぐるとそんな考えが頭を巡る。
ロキは頭を抱えて唸っている楓を愛おしく思うと、またベッドに押し倒し、キスの嵐を浴びせた。
「お前は私を愛しているのだろう?」
「そっ、そうだけど……」
「……可愛かったぞ?お前の乱れる様は」
「ひあぁぁぁぁ!!」
さっきから叫んでばかりである。

級友にロキとの事を話すと、予想通りの反応が返ってきた。
「やっちゃったの!?」
「う……あぁ」
あの後、叫んでばかりの楓を大人しくさせるためか、ロキにもう一度抱かれた。夕飯を食べる事も忘れ、朝まで同じベッドで裸のまま抱き合っていたのだ。それを思い返すだけで、楓の顔はたこのように真っ赤になってしまう。人生経験豊富な彼女も、こと恋愛に関すると、全くの初心者らしい。
「いやぁ、まさかみんなのマドンナ的存在の楓に彼氏が出来るとはね。男子泣いてるんじゃない?」
「なわけないだろう」
と、楓は言っているが、実際涙をのむ男子諸君たちがいた。
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