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イチバンノタカラモノ。

第2章 カコノキズ。


「おっはよー」
「おはよ」
生徒が登校してくる。楓はとりあえず、寝たふりをして誤魔化していた。
「あれ?楓寝てるの?」
「なんだー。昨日の事聞こうと思ったのにー」
よし、とりあえず時間は稼げた。とりあえず、ロキの事をどう説明するかを、寝たふりをしながら考えよう。と、楓は思考を巡らせている。
そんなこんなで、教師が教室に入って来た事により、朝のホームルームが始まる。
問題の昼食の時間がやってきてしまった。
「いただきます。まぁ、美味しそうなお弁当」
「……」
いつもと違いすぎる楓に、皆一斉に黙ってしまった。
「あ、それで思い出した、昨日の外国人……」
「逆効果かよ!」
自然に振舞おうとした結果不自然になり、真理達の興味は弁当からまたしてもロキに移ってしまった。楓は失敗した、とばかりに机に突っ伏す。
まぁ、ここで先延ばしにしても、いずれは話さなければならないのだ。楓は腹をくくった。幸い、良い言い訳も思い浮かんだところだ。
「あいつは、父親の知り合いだ。ホームステイをするという事で、家に置いている」
「え、でも楓って一人暮らしだよね?」
友人達には、家族とは離れて暮らしていると話している。楓は頷いた。すると、真理を筆頭に、グループの全員が立ち上がった。
「って事は、二人っきり!?あのイケメンと!?」
「おおお、お前らが考えてるような事は一切ないからな!?」
思わずまたしても頬を紅潮させてしまう楓。そうだ、ロキとは何もないし、この先もきっとない。いや、絶対ない。
そう言い聞かせる度に、更にロキを意識してしまう楓は、頭を振ってその考えを否定した。
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