暖かい氷を私にください。《ユーリ!!! on ICE》
第11章 選択そして贅沢
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どれくらい、寝たのだろうか...。もう空は真っ黒になっていた。
しばらく外をぼーっと眺めている時
『やぁ、元気にしてた?』
と横から声が聞こえた。
私は突然の声にビックリする。
『だ、誰?』
病室は暗くなっている。人の顔がわからない。
『やだなぁ。もう忘れちゃったのかい?』
と聞き覚えのある声が聞こえた。
彼の事を眺めていると雲に隠れていた月明かりが彼を照らした。
『ヴィクトル...。』
そこにはヴィクトルが座っていた。
『な、なんで...。貴方、ロシアに帰ったんじゃなかったの?』
『あぁ、帰ったさ。でももう二度と会いにこないなんて言ったかい?』
そうヴィクトルはにこやかに話した。
『なんで、私が病院にいる事が分かったの?まさかニュースになんかなっていないよね…?』
『いや、勇利に聞いたんだ。』
『ゆ、勇利に?!勇利にあったの?』
『あぁ、すっごく驚いてたよ~、それとJapaneseフードは美味しいね!カツ丼すごく美味しかったよ!』
とヴィクトルは楽しそうに話した。
そしてヴィクトルは思い出したように、
『あ、今日から僕は勇利とのコーチになったから!よろしくね』
『は?』
『....っ!そんなの無理!私スケートの大会には出ないから!』
私は猛烈に拒否をする。
『そんなこと言ったって~!もうヤコフやメディアに言っちゃったし~。帰りの飛行機のチケット取ってないよ。』
私は慌てて机の上に置いてあった携帯を取る。
画面には大量の通知と一緒にニュース速報が入っていた。
速報 : ロシアの英雄ヴィクトル・ニキフォロフが活動を休止、日本の元女王選手と選手の従兄弟である、勝生勇利選手の専属コーチになることを発表。
・・・・・・・
『ん?どうしたの?』
『こんなの嫌だぁぁあ!!!!!』
私は静かな病院で大声出して叫んだ。