暖かい氷を私にください。《ユーリ!!! on ICE》
第8章 出逢い ヴィクトルside
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あの彼女の表情を見て以来
彼女についてのニュースが流れることは無かった。
調べてみると、今現在、彼女の居場所を突き止めているメディアはいないらしい。
あんなにスケートを楽しそうにしていた彼女がどうしてスケートから手を離したのか僕には考えがつかなかった。
『一体あの日何があったんだ…』
それから。当たり前だが彼女は冬季大会にもグランプリファイナルにも姿を見せることは無かった。
彼女がリンクから姿を消してはや2年。
僕がリンクで滑っている時、携帯が鳴った。
その頃の僕は彼女を少し忘れていたのかもしれない。
けれども、あの動画をみて僕が発したのは
『wow!That's great!!』
こんな言葉で十分だった。
やっとまた会えるね。
『待っていてね。僕のお姫様…』
『っと言うわけだけど!お分かりいただけたかな?』
彼女をみて胸が高鳴ったことをはぶいて説明をした。
すると彼女はなんとも言えない顔をした
『で、ヴィクトルはなんでそんなことを思うのよ・・スケートを手放した私に。』
と悲しそうに彼女が問いかけてきた。
『僕はただ、グランプリファイナルでもう一度、君の演技を見たい。ただそれだけだよ』
僕は迷うことなく彼女の質問に答える。
あの笑顔がまた見たいとも言えるけれど・・
すると彼女は暗い顔をして
『大会には出ないって決めたの。あの動画は気分で滑ってみただけ。復帰するつもりはないわ。ごめんね。ヴィクトル』
そう刹那そうに彼女は答えてしまう。
『そっか・・・』
引き下がるつもりなんてない、困った顔を見たいんじゃない。
だから1歩引き下がってみる。
『また会いに来るよ。。その時は覚悟しておいてね。』
そう言って僕は彼女の額にキスをした。
『See you next someday.』
side
ヴィクトルは私の額にキスした後、私に笑いかけて帰っていった。
『キザな男…。』
と私はただ笑った。