第8章 朝ご飯の卵焼き
朝はただでさえ忙しいのが、月曜日の朝は輪をかけて慌しい。
いつもなら皆を送り出した後、ゆっくり一人で朝ご飯を食べて、ちょっとほっとする時間を取るのだが今日はそうもいかなかった。
アンが居間に戻ると、ソファの上にローが座って乱れた髪を手ぐしで整えていた。
(起きてる……)
かける言葉に困っていると、どこか申し訳なさそうなローの方から口を開いた。
「悪かったな。勝手に上がりこんで」
本当に泊まるつもりなんてなかった。ちょっと夕飯をごちそうになったらすぐ帰るつもりだったのに。
スーツはシワだらけでシャワーだって浴びたいから、仕事に行く前に家に帰ろうと決めた。
ローの言う通り、ルフィに誘われたからってさすがに朝までいられたのはいい気はしない。
(……でも…)
"ねーちゃんの飯、すげー美味いって"
ルフィの言葉が頭をよぎる。弟は嘘をつけないから、お世辞ではなく本当にそう言ってくれたんだと思う。
事実、アンが昨夜帰ったときにはほとんど夕飯は残っていなかった。
「あの、私今から朝ご飯なんだけど、一緒にどうですか?」