第7章 弟の進路
新居にお邪魔する日をペローナと約束して、アンはルフィの教室に向かった。
2-Fとクラスの札を確認して、ドアを開ける。
「スモーカー先生、こんにちは。よろしくお願いしまーす」
「ねーちゃん!ひでぇよ!!何でじーちゃん来てんだよ!?」
「は??」
目の前に縄で椅子にくくりつけられたルフィがいた。
その隣には何食わぬ顔で鼻をほじる祖父ガープ。
「お前が逃げようとするからじゃ」
ルフィの頭にゲンコツが落ちた。
「いってー!!
くっそー!せっかくケムリン巻いたのに…」
どうやら校庭でスモーカーから逃げ回っていたところにガープが現れて捕獲されたらしい。
「おじいちゃん、また無茶苦茶したんじゃないの?自衛隊の戦闘機に送ってもらったりしてないわよね?」
「わっはっは!さすがわしの孫!御名答じゃ。東京まで20分じゃったぞ」
(ああ、やっぱり…)
病院の中庭で見たセスナ(戦闘機)はそういうことだったんだ。妙なところを飛んでると思った。
警察官だったガープは若い頃は警視庁に所属していた。その後は沖縄に戻り県警に属していたが、さまざまな伝説と広い交友関係を残したようで警察だけでなく自衛隊にも顔が利く。
きっと、航空自衛隊に頼んで乗せてもらったんだろう。
孫の三者面談ってだけで。
「おじいちゃん、色んな人に迷惑かけるのやめてよ!おつるさんに言いつけるからね!」
「孫の三者面談なんて一大事だろうが!わしは何をしても駆けつけるぞ!」
戦闘機に乗って駆けつけるなんて、うちのじじいはどうかしている。
「………そろそろ、始めたいんだがいいか?」
すっかり存在を忘れられていたのは、窓側にいたスモーカー。くわえた葉巻を口から離すと紫煙とともにため息を吐き出した。