第7章 弟の進路
三者面談の日がやってきた。
ルフィは最後まで抵抗してなかなか起きなかったけど。
今日の仕事は朝から半日だけで、ルフィ達が行ってから急いで準備をしているとスマホが鳴った。
「もしもし、おじいちゃん?今日は午後からルフィの三者面談なのよ。急いで仕事行かなきゃいけないから、夜にかけ直すね」
「何ぃ!?何でそんな大事なこと、先に言っとかんか!待っとれー!!」
そうじじいが叫ぶと電話は切れた。
(まさかこれから来るつもりかな…?間に合うわけないのに……)
すごく嫌な予感がしたのだが、それはすぐに吹き飛ぶ。
そのままスマホを見ていると、メッセージを受信したからだ。知らない番号から。
『話があるから、病院に着いたら連絡しろ。
トラファルガー・ロー』
(呼び出しとか嫌だな。どうしよう……)
病院に着いて、一瞬すっとぼけようかと思ったが、後が面倒そうなのでしぶしぶ連絡する。
『アンです。着きました』
秒で返信が来た。
『外来にいる。来られるか?』
いつものローの外来には『休診です』と札が掛かっていた。人気はなくそうっと中を覗く。
「……呼び出して悪いな」
物音に気がついたのか、ローがひょっこり顔を出す。
その姿を見て思わず瞬きをして、見返した。
彼はいつものスクラブではなく、スーツ姿だった。足元にはキャリーバッグが置いてある。
「昨日の夜、急に出張が決まったんだ。来週の月曜まで弁当はいらない」
「そうですか。じゃあ今日の分も…」
「今日のは飛行機の中で食べるからいるんだよ」
苦笑しながらアンはローにお弁当を手渡した。
(こっちはしばらく弁当食えねぇからどうしようかと思ってるのに。何だよ、その顔)
(話って、それだけ?)
拍子抜けしたのも束の間。
「それとちゃんと登録しとけよ、おれの番号。また連絡するから」