第6章 研修医の診断
「わー!すっげー!!」
フェラーリを見て感嘆の声を上げたのはルフィである。
何故かわからないけれど、ラーメン屋に一緒に行くとローも言い出して。
こうして四人で駐車場に来た。
「乗せてやろうか?」
「マジで!!」
「おれも珍しいから乗せてもらうぜ。アン現地集合な」
ルフィとサボがフェラーリの後部座席に乗り込んで、楽しそうに窓から手を振る。
(サボまで……)
ヘルメットをかぶったアンは後からバイクで追いながらも不安が隠せない。
ローは自分の周りの人間をことごとく手懐けていく。
(私のこと嫌いなんじゃないの?嫌がらせ?)
道も混んでいなくて、数十分で店に着いた。
「ここのラーメン、うまっ!」
「だろ〜。サンジのラーメン最高だろ!餃子も美味いんだぞ」
「じゃあコアラに買って帰ろうかな。今日遅いんだって」
「そういえば、うちもゾロとナミちゃんに買って帰ってあげなくちゃ」
昨日のゴタゴタで今日の夕飯は何も用意していない。餃子があれば後は中華スープでも作れば立派な夕飯になる。
(あ、帰りに買い物しなくちゃ。明日のお弁当何にしよう)
そう考えながら、隣で静かにラーメンを食べるローに目をやる。
「…あのう、何か嫌いな物でもお弁当に入れてしまったんでしょーか?」
その言葉にローは思いきりむせ込んだ。
"おれはその顔、嫌いだからな"
いろいろあって忘れていたが、それを言い放ったのは昨日のこと。
「別に、そんなんじゃねぇよ……。お前の弁当、美味いし」
「それならよかった」
アンはホッとしたように笑った。満面の笑顔には程遠いが、いつもの愛想笑いとは違う。
(もっとおれの方を見て笑ってくれたらいいのに……)
「匂うな…」
二人の様子を見ていたサボが小さな声で呟いて、隣のルフィが不思議そうな顔をする。
「ん?サボ?」
「アンに春の予感……」