第6章 研修医の診断
手術中の助手はチョッパーが努めることになった。しかしそんなの初めてで、結局ローが手取り足取り教えなければならなかった。
「もっと広げろ。術野が確保できない」
「は、はい!」
(こんなんで何でオペ入るとか言うんだよ……)
手はガタガタ震えてるし、何かしでかすんじゃないかとこっちがハラハラする。
(いつも怒鳴り散らすキャプテンがまともに教えてるじゃん。ウケる……)
器械出ししているペンギンは笑いそうになるのを必死でこらえていた。
マルコがよいよい言いながら順調にオペは終わり、エースは消化器外科の病棟に運ばれていく。
「すみません……。ぼく足手まといで…」
「全くだ」
自分がするオペなら絶対に助手なんてさせないと誓った。そもそも気の弱いタヌキ顔に外科は向いてない。
「お疲れさん!二人とももう遅いから帰れ。おれは家族に説明してくるよい」
マルコに声を掛けられ、時計を見ると深夜の2時だった。
夜が明ければ今日も外来とオペがある。なるべく睡眠時間は確保したい。
「トニー屋、コラさんに言ってお前は午後から出勤にしとくからとっとと帰れ」
「あ、ありがとうございます…!」
チョッパーは一瞬泣きそうな顔をして、ローに頭を下げると手術室を出ていく。
(今日は病院に泊まるか……)
家に帰ることは諦めて、ローは仮眠室へ向かう。
エースを待っている家族がアンなんてこと、ローはまだ知らない。