第6章 研修医の診断
「あれー、チョッパー先生じゃん。オペ室に何か用っすか?」
手術室に入ったチョッパーに、準備ホールにいたシャチが物珍しそうに声を掛けた。
「すみません、虫垂炎のオペはどこでするんですか?」
「ああ、マルコ先生の?第2オペ室だけど、まだ先生来てないすよ」
他にもオペをしているようでシャチは忙しそうに動き回っている。
(ぼく、看護師さんの邪魔だな……)
端の方で待っているとマルコと何故かローが来た。
「よいよい、お前熱心だなぁ。もう勤務時間終わりだから帰っていいぞ。助手ならいいの連れて来たし」
「キャプテン、虫垂炎のオペ入るんですか?珍し〜」
「無理矢理連れてこられただけだ。おれだってもう帰る前だってのに」
「しっかり頼むぞ、スーパードクター。お前の見立て通り、穿孔性虫垂炎だからよい」
「他の消化器外科の医者呼べよ」
「面倒いよい」
そんな理由でスーパードクター(ロー)を連れてこられるのはマルコぐらいだろう。本人も多少なりとも興味があるから付いてきたのだろうが。
「患者さん入りまーす」
それぞれが準備をしていたところ、ペンギンが車椅子を押して第2手術室にエースが入ってきた。
手術台に乗せられ、当然のように表情はこわばり緊張している。
「後は任せろよい、エース」
「あーもう、めっちゃこわい。頼むよ、パイナップル先生」
(…こいつは、弁当女の彼氏…)
まさかと我が目を疑ったが、昨日何度も睨みつけた見覚えのあり過ぎる顔。
(トニー屋の患者はこいつだったのか…。助言なんてするんじゃなかった)
医者らしくない後悔をするが、すぐに気持ちを切り替える。
視線を投げつけていたからかエースはこっちを見たが、すぐに麻酔をかけられて眠りに落ちた。
「じゃあ、始めるよい」
手術は始まった。