第6章 研修医の診断
「にいちゃん、急性虫垂炎だよい」
「は?」
「1時間後に手術するよい」
「はぁ!?」
「わかったら同意書にサインするよい」
「いや、突然すぎてわかんねぇよ。パイナップル先生」
「おれはマルコだよい!パイナップルとは似ても似つかないだろうが。コンビニのねぇちゃんは彼女か?」
「いえ、従姉妹です」
「じゃあこの家族のところにサインするよい」
「あ、はい」
「アンも勝手に納得するな!仕事もあるし、急に手術とか困るって!あ、いてて…」
「でもたぶん穴開いてるから、点滴で治すのは無理だぞ。今日オペしたら数日で退院できる。
オペ室で待ってるよい」
「ちょっと待て!パイナップル!!」
オペの説明もそこそこにマルコは診察室を出て、エースは看護師に連れて行かれた。今頃身ぐるみ剥がされて、手術の準備をしているだろう。
「チョッパー先生ありがとう。早く見つけてもらえてよかったです」
チョッパーもマルコの説明に同席していた。ざっくりし過ぎた説明に引いてたけど。
「いえ、ぼくは何も…」
(たぶんトラファルガー先生に相談しなかったら帰宅させてた……)
「虫垂炎でも見つかるの遅かったら大変なことになりますよね。さっさと手術してもらった方がいいに決まってる。じゃ、私入院の手続きしてくるから」
ありがとうございました、とアンは丁寧に頭を下げた。
(ぼくは感謝されることなんて何もしてないのに……)
アンの後ろ姿を見送ると、チョッパーは踵を返しオペ室へ向かった。