第6章 研修医の診断
追加の検査をしたエースと二人で外来前の椅子に座って結果を待つ。
「もう帰りてぇー」
「まだ点滴終わってないし。もうちょっと待ってなさいよ」
アンはスマホの画面を見る。表示された時刻はもうすぐ12時。
(ルフィ達ちゃんと寝てるかな。これじゃ明日のお弁当作れないかも…)
ルフィ達には学校の食堂で何か買ってもらおう。レイジュには朝一で連絡して、あのイケメン医師は……。
(連絡先知らないな…。今日は当直だとか言ってたけど。レイジュから伝えてもらったらいいか…)
それだけを伝えるために診察室に押しかけることもできないのだから。
♤
(よかった…、検査して。あのまま帰してたらもっと悪くなって…。
今日の消化器外科のオンコールはマルコ先生だったはず。連絡して、それから…)
「よいよい。今年の研修医は優秀だよい。あの所見でよくここまで疑ったなぁ」
「わっ!マルコ先生?」
特徴のあるパイナップル頭。消化器外科医マルコがいつの間にか背後にいた。
マルコは鋭い眼差しで造影CTの画像を覗き込む。
「トラファルガーに呼び出されてなぁ。こりゃ今日オペした方がいい。患者に説明するから診察室に呼んできてよい」
「は、はい!」
マルコはオペ室や麻酔科医に手早く連絡している。
(皆、すごい…。判断が的確だし早い。ぼくなんかじゃまだまだダメだ……)
落ち込みそうになりながらもチョッパーはエースを呼びに行く。これから一番大変なのは患者の方なのだから。