第6章 研修医の診断
何故、研修医のチョッパーが診察を任されているのか。
救急当番の診療科は内科系と外科系にざっくり別れているのだが、本日の内科系医師は三年目の若い医者で他にも入院対応の患者を抱えて手一杯になってしまったからである。
とりあえず軽症そうな患者はチョッパーに回される。
そんなわけで、チョッパーはエースと対峙していた。隣にアンもいる。
チョッパーは慣れない手つきでカルテを開く。若干オロオロしているのが、こちらにも伝わってくる。
「えっと…、熱と腹痛ですよね。いつからですか?」
「今日の昼に腹が痛くて目が覚めて、熱もあった」
「生もの食べたりとかは?」
「昨日、飲みに行ったからいろいろ食べたよ。刺身とか…」
(食当たり?胃腸炎かな…?でも何の検査もせずに決めつけるのは早いし…)
慣れないことにチョッパーは慌てていた。普段ならコラソンがいつもそばにいてすぐに相談できるのに。
「触診しますね。痛いのこの辺ですか?」
「いってえ!!押さえすぎだよ!」
「わぁ!すみません!」
「エース大人げない…」
「いや、マジで痛いんだって」
「痛みは心窩部…、吐き気はなしで下痢もなし。とりあえず、採血を。レントゲン…、いやCTも撮った方がいいかな?」
「俺に聞くなよ、先生…」
「す、すみません!処置室に行って採血を、その後CTを撮ってきてください!」
♤♠︎♤
「あの先生、大丈夫か?まだルフィぐらいのガキじゃん」
「童顔なだけでしょ。ちゃんと医師免許持ってるし大丈夫だよ」
「ほんとかよ…。不安なんだけど」
♤
(よかった…、やっぱり腸炎だ。炎症反応は高いけど、抗生剤と痛み止め処方して様子を見てもらおう)
チョッパーはCTの結果を見てホッと胸を撫で下ろした。
放射線科医の所見もちゃんと腸炎と書いてある。
(大丈夫、大丈夫だよな……)