第6章 研修医の診断
すぐにサクラ医療センターに問い合わせる。
電話に出てくれたのは顔見知りの職員で、事情を話すと今から来てくださいと言われた。
タクシーを呼んで、エースを連れて病院へ向かう。
(…食当たりかな?でも私はどうもないし…)
「こんな大事にすることないって。あー、いてて…」
「黙ってついてきなよ」
エースとサボの父親、ドラゴンはサーカス団の代表でずっと海外にいて二人はアンと一緒にガープとアンの母に育てられた。
アンが母と東京に出てきたのは小学校に上がる前で、それまで同じ家で暮らしていた二人は従兄弟というより、兄弟ぐらい近い存在だ。
それに祖父を除いては頼れる親類はお互いぐらいなもの。
(病気のときぐらい面倒みてあげなきゃ……)
病院に着くと受付を済ませて、救急外来の前で待つ。
他にも何人か患者がいて看護師や事務職員がてきぱきと働いている。
「もう帰っていいぞ。明日仕事だろ?」
「入院とかになったらどうするのよ?それに一人で家に帰れないでしょ」
「……うん。悪りぃ」
「私のことは気にしなくていいんだって」
困ったときはお互い様。
母が亡くなったとき、エースとサボがどれだけ力になってくれたか知っている。
ルフィに隠れて泣いていた自分を励ましてくれた。
晴れの日は海や山に連れ出してくれて、雨の日は年甲斐もなく家の中で宝探しして遊んだ。宝はガープが隠した高い酒だった。
(勝手に開けてめちゃくちゃ怒られたっけ…)
打ち上げ花火をあげようとして、物置に引火させたのはやり過ぎだったけど。
(その後じじいに…以下略)
二人がいなければ立ち直ることはできなかったかもしれない。
面と向かっては言えないけれど、とても感謝しているのだから。
「次の方どうぞ。あれ、アンさん、こんばんは」
診察の順番がきた。意外なことにエースを呼び入れたのはアンとも顔見知りの研修医チョッパーだった。