第12章 波乱の夏休み
なんとなく、ルフィが好意的なのは感じていた。
色々絡んでくるし、多分嫌われてはいない。
ローにはアンを説得するより、ルフィを言いくるめる方が簡単だと思ったのだ。
アンと付き合いたい。必ず大事にするから、と単純に伝えた。
誠意を込めたのに、彼の返事は予想外だった。
「えー、なんかいやだ」
(…………は?)
「大事にするし、絶対に苦労はさせない。
それに、お前にとってもメリットあるだろ」
「そうよ、ルフィ。トラ男くん、すごくお金持ってるんだから」
おれは金づるじゃねぇ。
「だから、いやだって。
ねーちゃんもいやなんだろ」
「え、うん…」
アンさえも意外そうにルフィを見た。
人懐っこいルフィは他人を惹きつけるように誰とでも仲良くなる。
その中でもローのことは彼自身が気に入っていると思っていたから。
「ちょっとルフィ!適当に断らないでよ!」
ナミはルフィの頭を力任せにぶん殴った。たんこぶができてみるみる大きくなる。
「いってぇ!!いやなもんはいやなんだよ!!」
ここまで嫌がられるなんて、もしかして生理的に無理とかいうやつなんだろうか。
鬼の形相で更に拳を振り上げるナミから逃げ回るルフィを見ながらローは地味に落ち込んだ。
今まで散々他の女からの愛の告白を断ってきた報いなんだろうか、と。