第6章 研修医の診断
(やっちまった………)
医局に戻るなり、ローは机に肘をついてうなだれた。
嫌いだなんて言うつもりはなかった。
だけど実際今日を迎えてアンと会ってみれば、昨日の姿とはまるで別人で。
相変わらず彼女は自分とは一歩引いて接してくる。
それがたまらなく嫌で冷静さを失わせる。
(振り回されてばかりだな…。バカみたいだ……)
「トラファルガー先生!お疲れ様です」
顔を上げると研修医チョッパーが立っていた。
「ぼくも今日当直なんです。よろしくお願いします!」
「…ああ。よろしく」
(挨拶なんて律儀な奴だな…)
どこかタヌキに似ているけれど、真面目で憎めない。コラソンが可愛がるはずだ。
♤♠︎♤
アンが家に帰ったのは夜の9時を回っていた。
朝出たときと同じようにソファで寝ているエース。
「エース、あんた明日仕事じゃないの?いつまでいるのよ?」
「あー…、アンおかえり。まぁ、そうだけどさ…」
エースは赤い顔をして眩しそうに目を開く。珍しくぐったりして元気がない。
「ねぇちゃん、エース腹痛いんだって」
「熱もあるみたいだし。救急病院行ったらって何回も言ったんだけど」
リビングにいたルフィとナミから矢継ぎ早にそう言われた。
「いやぁ寝てたら治りそうだし、薬も飲んだし。それに今日日曜だから病院空いてねぇだろ?」
風邪も引かないエースが病気なんて珍しくて少し焦る。
「もー、連絡くれたらよかったのに。仕事先で診てもらえないか聞いてみるね」