第6章 研修医の診断
ふわぁとアンは大あくびをした。
日曜日の病院は閑散としていて、コンビニも今日は客が少なく暇だ。
昨夜エースと家に帰ったらルフィが大喜びでエースに飛びついて、彼らは明け方まで起きていたらしい。
アンの仕事は午後からで、家を出るときもエースはソファで爆睡中だった。
(それにしても眠い……)
家に帰って夜食の卵焼きを作って、お風呂入ってすぐに寝たのに。
(久しぶりに飲み過ぎたかなぁ…)
元々酒豪と呼ばれる部類の人間なので、あまり酔っ払ったりはしないのだが。
「…おい」
「はっ!いらっしゃいませ!」
レジ前には缶コーヒーを持ったローが立っていた。相変わらず不機嫌そう。
「日曜日なのにお仕事ですか?」
「今日の夜は当直だからな」
弁当を渡しているのは平日だけだ。コンビニに客として訪れない限り、土日にローと出会うことはない。
当直だからと早めに出勤してきたようだ。
「ありがとうございました」
アンはいつものように営業スマイルでレシートを手渡した。
ローはそれを受け取り、振り向きざまにアンにジロリと視線を投げた。
「………嫌いだ」
「はい?」
「…おれはその顔、嫌いだからな」
「はぁ……」
困惑したまま、アンはローの後ろ姿を見送った。
元々好かれてはいないと思っていたけれど。嫌われるようなこともしていないはずなのに。
(もしかして、嫌いな物でもお弁当に入れちゃったかな…)