第5章 好きなわけない
「あァ?」
今、聞き捨てならないことを聞いた気がする。
「だから、アンちゃんのこと好きなんだろ?そういうことなら、応援しちゃうぞ〜」
「そんなわけねぇだろ!あんな弁当女!」
「え〜?残念だなぁ。お似合いなのに…」
好きってなんだ?
ただあいつが作った料理が食べたいだけ。
可愛げも愛想もない女と付き合いたいとは思わない。
「アンちゃんのメシ、マジで美味いからな。仕事終わって疲れて帰ってアンちゃんの料理が食べれたら最高だな……」
料理人に認められるなんて、どんだけの実力だ。
『おかえりなさい、アナタ♡
今日の晩ご飯は焼き魚よ♡』
フリフリレースのエプロン姿のアンの姿が脳裏に浮かんだ。
(……最高だ…。いや、違う!!)
「ロー、大丈夫か?」
頭を抱えたローを心配して、コラソンが慌てて顔を覗き込む。これ以上慌てるとまたドジるからやめてくれと思う。
何度も深呼吸を繰り返す。
けれども胸の騒つきがいつまでも治らなかった。