第4章 見返りは弁当を
「ただいま〜」
家に帰ったらすぐにナミが出迎えてくれた。
「おかえり、アンちゃん。卵買ってるよ」
「ありがとう。助かったよ」
「あと、これなんだけど……、アンちゃん一緒に来てくれない?」
ナミはプリントをアンへ差し出す。学校から三者面談のお知らせだった。
「ナミちゃん、これはお父さんにちゃんと話さないとダメだよ。週末、家に帰ったら?」
「ゼッタイに嫌!!もう顔も見たくないの!
おねがーい、たしぎちゃんにはうまく言っとくからさ」
ナミの父、アーロンは政治家として悪い噂で絶えないことで有名だった。賄賂や買収疑惑で何度も騒がれているが逮捕されたことはない。
ずっと祖父のところに姉のノジコと預けられていたが、色々事情があったらしく中学生のときに引き取られた。
父との仲は険悪でノジコが大学進学を機に家を出て、父親と折り合いをつけれないまま、ナミは家出した格好だ。
ちなみにたしぎはナミの副担任だ。まだ若く生徒にはややナメられている。
「おれはアン姉でいいって、スモーカーが言ってたぞ。他にいねぇし」
ゾロは赤子の頃、乳児院の前に捨てられていたらしい。以来施設育ちで天涯孤独だったのをルフィがウチに来てもいいと誘ったらついてきた。
まだ養護施設に籍がある以上、普通は他人の家に暮らすなど許されないことなのに、施設長コウシロウの理解があってここに住んでいる。
「施設長さんに連絡したら?きっと来てくれるよ」
「いいよ。めんどくせぇ」
二人には悪いが、一番真面目に付き添わないといけないのは我が弟だった。
「ルフィもプリント見せて。何日の何時から?」
「ね、姉ちゃん、おれは三者面談ねぇんだよ。ケムリンすっかり忘れてて」
「そんなわけ、ないでしょーー!!!」
アンの雷が落っこちた。