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卵焼きは甘い派ですか?【ONE PIECE】

第4章 見返りは弁当を



偶然出会っても、すぐに連絡先を交換する理由もない。
ましてや相手にとってはただのコンビニの客だ。世間話すらしたことがない。

何とか状況を打開したい。難しいオペに挑むような気持ちで考えを巡らせる。


「ごちそうさまでした。じゃ、レイジュまたね」
「うん、お疲れ」

食べ終わった四人は席を立って、アンはレジへ向かう。

「サンジくん、ルフィ達がツケてる分も今日払うから。いつもごめんね」
「アンちゃん、気にしないで。てめぇら二人、アンちゃんに甘え過ぎだ!今度から自分で払え!」

「何でナミだけ怒られねぇんだ?」
「変態ヤローだからな」
「わたし、アンちゃんにバイト代渡してるもん(受け取ってくれないけど)」


アンは財布から万札を何枚か取り出した。
(やだ、足りない…?)
あと数千円が足りなくて、バッグの中を漁る。


「……ちょっと待て」
背後から力強い掌が肩の上に乗った。

(わ、近くで見るとかなりのイケメン…)

振り向くと見下ろされるように整った顔があって、不覚にもドキッとした。


「そのツケ、おれが払う」
「え?」

(何言ってんの?この人。ただの顔見知りなのに)
意味がわからない。

「あの、困ります。そんなことされても…」
「足りねぇんじゃないのか?」

(でもこの人に借りるぐらいならナミちゃんかレイジュに……)
口角を上げて何かを企むような横顔を見て思った。
その方が穏やかだ。絶対。


「ほら」
全額をローから受け取ったサンジはレジに打ち込む。

レシートをサンジからひったくるように取り上げ、財布にしまう。視界の端に頭を抱えるレイジュの姿が見えた。


「レシートもらわないと、今度返す額がわからないのですが!」
「返さなくていいし、これからもツケはおれが払う」

「はぁ!?」
ますます意味がわからない。


その代わり、とローはアンの耳元で囁いた。

"弁当、おれにも作ってこい"




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