第4章 見返りは弁当を
ラーメン屋『黒足』
「いらっしゃい、って何だレイジュか。男連れて珍しいな」
「うるさいわね。ただの同僚だし。
サンジよ。弟なの」
サンジはローに軽く会釈する。
「姉貴が世話になってます。めんどくせぇ女だろ?」
「いや、よく気が利くから助かるよ」
「あんた、ほんとに思ってる?」
カウンターに座ってメニューを見ているとガラガラとドアが開いて、高校生ぐらいの男女とそれより年上の若い女が入店してきた。
「あー、腹減った!!サンジ、飯!」
「ルフィ、声大きい。他にお客さんいるから」
ローは目を見開いた。ルフィと呼んで黒髪の少年を咎めたのは、あのコンビニの店員だったから。
「アンちゃん、ナミさん、いらっしゃい!」
「サンジくん、閉店前に大人数でごめんね。うちに帰ったら何もなかったのよ…。ルフィのせいで」
「こいつが一人で夕飯平らげちまったせいで、自主トレから帰ったら何もねぇ…。何か食わせろ」
「どういう態度だ、てめぇ」
「おねがーい、サンジくん。お腹ぺこぺこなの」
「ナミさん、すぐ作るから待っててね!
悪いけど、注文決まってねぇなら待っててくれよ。こいつらの分から作るな」
「…ああ、別にいい」
席をひとつ空けて隣に座った、黒髪の麦わら帽子の少年と目が合った。
「いい奴だな、お前!」
彼はニカッと白い歯を見せて笑った。