第4章 見返りは弁当を
緊急オペが終わったのは20時を回っていた。
疲れた身体でレイジュは医局へ向かう。
(そういえば、アンに連絡してなかったわね。お弁当どうしたかしら…)
謝ろうとスマートフォンの某通信アプリを起動して、メッセージを送る。
(お腹空いたし、疲れたわ…。金曜だし、サンジの店にでも行こうかな)
「……お疲れさん」
「あんた、何でまだいるのよ?」
医局のソファにはローがぽつんと座っていた。
仕事をしていた風ではない。まるで待ち構えていたようだ。
「…お前、コンビニの副店長と知り合いなのか?」
「だったら何よ?別に問題ないでしょ」
「その女の弁当をおれに見せびらかしながら食べてたんだろ」
何故だかローはアンにたどり着いていた。
彼女の弁当に飽きもせず固執するモテ男。しつこくされるのは嫌いだろうに。本当に呆れる。
「そのことで話がある」
見当は何となくついた。どこか自信なさげな彼の顔が珍しい。
レイジュは思い切りため息を吐いた。
「全くもう。ラーメン食べに行くから、奢りなさいよ」