第3章 エリート医師の恋愛事情
「トラファルガー先生が好きです!付き合ってください!」
「断る。悪いな」
外来が終わった後、医局に戻る途中で待ちぶせしていたと思われる看護師に呼び止められた。
嫌な予感は的中し、やはり今月5回目の告白だった。
即答されたショックか彼女は一瞬、涙目になったがぺこりと頭を下げて足早に去って行った。
毎回毎回告白の度に断っているが、それは噂にならないのだろうか。
外来やオペの合間で何度も手渡される手紙や呼び出しでの告白に辟易し、院内の誰とも付き合うつもりはないと断言したはずなのに。まだまだローを狙う女性は多い。
正直今まで誰と付き合っても、1に仕事、2も仕事で女を大事にできたためしなんてない。
それでも放置しても忘れても、自分から別れようとする女なんていなくて何とか恋人らしく奉仕しようとする。
だから別れる作業も一苦労だった。
そんなこんなでもう誰とも付き合いたくなんてない。
頼むからもう放っておいてくれ。