第12章 波乱の夏休み
「え?え?なになに?どゆこと?」
現場に居合わせたナミは軽く混乱していた。
疑問符だらけのナミの言葉をそっくりそのまま返したい。
「ていうか!アンちゃん、何で断るの?こんないい話、他にないじゃん!なんでも買ってもらえるのに!」
パパ活か何かと勘違いされているのだろうかとローは思った。
貢ぐタイプでは全くない。ただアンが欲しがればなんでも買ってはやるが。
「ああ、もう!私、恋愛してるほど暇じゃないの!」
面倒くさくなったスパッとアンは言い切った。あえてきつい言い方をして、これはローに向けた言葉でもある。
「じゃ私、ルフィ呼んでくる!」
「だから何でそうなるの!?」
バタバタするナミを羽交締めして、何とか口止めしないといけないとアンは考える。
口止め料はブランドバックかアクセサリーか。どちらにせよ懐が痛いけど仕方ない。
「そういうことなんでお引き取りください!!」
一旦引くべきか、とローは迷った。アンは思った以上に頑なだったから。
誰かに説得してもらわないと、聞く耳すらもってくれない。
ナミが言ったみたいに、アイツとか。
「あ!ねーちゃん、腹減った!!」
どこからともなく、びよんと飛び跳ねるように彼女の弟が現れた。
そう、最愛の。
「……そういやお前、弟が一番大事なんだよな」
「は?そんなこと言ってないけど!?」
「ねーちゃん、何でキレてんだ?」
「あんたも協力してよ、ルフィ」
カオスな状況にルフィは首を傾げてアンとナミ、最後にローを見る。彼は口角を上げて何か企んだような顔をしていた。
「弟に許可もらえば問題ねぇだろ」