第12章 波乱の夏休み
目当てのオオクワガタは中々見つからない。ルフィはうっそうと木が生い茂る山の奥へどんどん進む。
「そもそもクワガタとかカブトムシって夜行性だろ?昼間は見つかりにくいはずだ」
「え、そーなの?」
昼間に虫かごいっぱいに見つけてくるルフィの方が異常だ。
アラフォーのコラソンは疲れてついて来れなくなって、少し手前の木陰で休んでいるし、ローだって最近運動不足で明日の筋肉痛は確定だ。
「そういや、腹減ったし。帰るか!」
「おい!走るな!」
ルフィは踵を返すと、すごい勢いで元来た道を戻り始めた。「おっさん、先行くな!」とコラソンを追い越す。迷子にならないかなんて無用な心配らしい。
「今どきの男子高校生って体力すごいなぁ」
「アイツが野生児なんだろ」
ローは盛大にため息を吐く。
(アンも大変だな…。普通、高校生にもなって虫取りしねぇだろ)
コラソンと一緒に山を下ると、一足早く着いていたルフィが虫かごを見せながらアンに笑顔で話しかけていた。
まるで小学生の親子のようだ。
「ルフィに付き合ってくれてありがとう。スイカ切って持って行くから、さっきの広間で待っていてください」
こちらに気づいたアンは申し訳なさそうに笑った。