第12章 波乱の夏休み
虫取り網と虫かごを持ったルフィと裏山に来た。麦わら帽子がやたらと似合う彼はほぼ駆け足で進むから、追いつくだけでいっぱいいっぱいだ。
「よくこんな足場の悪い道を走れるな……」
ローは汗を拭いながら後ろを振り向く。コラソンがよろよろしながら登ってきていた。
「コラさん、大丈夫か?」
「あー…、こんなにクワガタ採りがハードだったとは…。
どわぁ!!」
(言わんこっちゃねぇ……)
足元の木の幹につまずいて転んだコラソンを助けながら、ルフィを探す。
丁度5メートルはあろうかという木に登っている最中だった。
(アイツ、猿みてぇだな)
「よし、おれも! わーー!!」
コラソンもルフィに続こうと足を幹に掛けて、すってん転んで頭を打つ。どうやったらあんな転び方ができるんだろう。
「おっさん、大丈夫か?」
木の上から滑るようにルフィは地面に駆け降りてきた。コラソンに手を差し出す。
(完全に足手まといだ、コラさん…)
「ごめんよー。オオクワガタ採れたかい?」
「これ、スッゲーだろ?オオクワガタはまだだけど」
ルフィは得意げに虫かごを手に取った。すでに中はカブトムシやクワガタでいっぱいになっている。
「これどうすんだ?」
「後で逃すよ。ねーちゃん怒るから」
建物に残ったアンはセンゴクやナミとバーベキューの準備をしている。
「バーベキュー楽しみだな〜。やっぱ肉だよな!肉!」
多めに肉や魚介を買ってきてよかった。コイツめっちゃ食うだろうし。
「姉も肉が好きなのか?」
「さぁ、ねーちゃん好き嫌いないから。あ、酒は好きだな。よく夜中にツマミ作って食べてる。ねーちゃん、俺が食べるとめっちゃ怒るんだよな」
彼女のことが知りたくて弟と出掛けたのだか、酒が強そうなのは予想通り。
(酒も買ってきたらよかったな…)
一緒に酒盛りでもしたら、彼女との距離が縮まっただろうか。