第12章 波乱の夏休み
桶に素麺を入れてセンゴクとアンが戻ってきた。
沖縄とは違い、関東地方の天気は連日の快晴で今日も真夏日。
氷水の中で冷えた素麺は美味い。薬味のネギと大葉はここの畑で収穫したもので新鮮だ。
先に食べた四人は畳の空いたスペースで足を伸ばしていた。
「やっぱ、昨日の流し素麺の方が美味かったな」
「全部食べといて、それ言うの」
「ルフィ、後で筋トレ付き合え」
「えー、おれ山行きてぇもん。絶対ここ、オオクワガタいるって。トラ男も行くよな?」
「は?」
ルフィの誘いに、素麺を食べていたローの手が止まる。
「クワガタ捕まえるのなんか、小学生以来だな。よし、行こう!」
コラソンは思いの外、張り切っている。
「…お前は行くのか?」
窓際でうちわを扇いでいたアンに話を振るとちょっと驚いた顔をした。
「…行くわけないじゃない。バーベキューの準備するし。嫌なら断っていいのよ。ルフィは一人でも勝手に行くから」
「いや、行くよ」
まさかルフィと昆虫採集する羽目になるとは思っていなかったけれど、弟と仲良くなって損することはないだろうから。