第11章 おばんざい
一般病棟に移ったシャンクスの元には面会人がよくやってくる。
アンやルフィ、甥にあたるエースやサボ。他にも作業着のドレッドヘアの男や、長髪の細身の弁護士がよく居座っていた。
「随分と人気者なんだな」
「はは、そうでもないさ」
シャンクスは元々明るい性格のようでよく笑う。他のスタッフともすぐ打ち解けているし、同室者とも仲が良い。
アンとは少し違うなと思う。アイツの満面の笑顔なんてあまり見たことがない。
「アンと似てないだろ?アイツは母親似だから。性格もさ」
思っていることを言い当てられて、ドキッとしたが平静を装う。きっとただの知り合いぐらいにしか思われていないはずだ。
「へぇ」
「ルフィが一緒にいると、色々口出ししてやかましいけど、元々思慮深くて大人しいんだよ。あまり考え過ぎるところはよくないけどな」
なんとなくそんな感じはする。相槌を打っていると、シャンクスはローの顔をじっと覗き込んだ。
「看護師さんから聞いたんだけど、先生は独身なんだって?結婚しないのか?」
「ああ…、なかなか縁がなくて」
「そんなわけないだろ!イケメンで医者だぞ!」
面倒臭いからこの手の質問はさらりとかわしたいのに、笑顔で一蹴された。
「いやいや、アンと同じ年なんだろ?どっかにアイツもらってくれそうな人いないかな?」
そんなこと言われても返答に困る。まさか想いを寄せているなんて言えっこない。
「……さぁ、娘のタイプがわかんねぇとな…」
「アイツさぁ、すっげえ年上が好きなんだよ。おれと同じぐらいとかそれより年上とか。さすがにじじいと結婚されたくねぇじゃん?できたら孫の顔も見たいしさ」
(マジかよ……)
まさかの父親からの情報に絶句した。