【ヒロアカ 】変態に好かれても良いことなんてない!【轟焦凍】
第12章 合コン行かない?
結構量があるはずの蕎麦を轟社長はあっという間に食べ終わった
「ご馳走様でした」
『お粗末様です』
カウンター越しに顔を出して、轟社長の食べ終わったお皿を回収する。
「デザート無いのか?」
『ありますよ、ゆずシャーベットと抹茶アイスと白玉餡蜜とお汁粉があります!』
「じゃあ雪乃で」
『あ"?』
ギロっと轟社長を睨むと従業員達がゲラゲラ笑い出す。
私は黙ってゆずシャーベットを差し出した。
『これ食べたら帰ってください』
そっぽを向いて薬味の仕込みをはじめる。
轟社長は渡されたゆずシャーベットを口に入れる。
「…美味いな」
『うちの母の手作りです』
「ふふっ…私お菓子作りが趣味なのよ」
美味い美味いと言いつつゆずシャーベットを口に運ぶ轟社長に温かいコーヒーを淹れる。
ゆずシャーベットで冷たくなった口内をコーヒーで常温に戻しながら食べ進める。
「ご馳走様でした、お会計は?」
『今日は私の奢りです』
「いや、そういうわけには」
『良いんです。これはお礼なんだから』
ニカっと笑うと轟社長は嬉しそうな顔をして
「じゃあ明日もまた送迎する」
『それ永遠に続きますよね?』
「永遠に続けば良いと思ってる…じゃあ俺はそろそろ仕事に戻るからまた明日な」
私の頭をポンポンと撫でて轟社長は店を出て行った。
「なぁに雪乃ちゃん!轟社長さんとちょっと良い感じだったじゃない〜」
「ゴールイン?ゴールインしちゃうんですか?」
轟社長が出て行った瞬間お母さんと田中さんが一気に茶化しにきた。
『ちょ、やめてよ!そんなんじゃないんだから!!』
ムッとして言い返すと2人はまたまたぁ〜と締まりのない顔をしてキャッキャと妄想話に花咲かせて盛りがってる
『もう!私部屋に戻るからね!!』
薬味の仕込み途中のまま、私は自室に戻る。
「あら怒らせちゃったかしら?」
「かしら〜?」
お母さんの後に続いて田中さんもふざけながらそう呟く
この2人は地味に仲が良いし、テンションも似てるから面倒くさい
自室に戻った私は、荷物を置いてクローゼットを開ける
『あ〜合コン用の洋服どうしよ』
開け放たれたクローゼットの中には仕事着と遜色ないくらい地味な服が並んでいてため息が出る。
『新しい服、買わなきゃな…』
いつ買おう、それが問題だ。