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【ヒロアカ 】変態に好かれても良いことなんてない!【轟焦凍】

第12章 合コン行かない?



「雪乃ちゃんを会社まで送り迎えしてくれてありがとうございます。」

「いえ、俺も好きでやってることですから」

お母さんは轟社長に蕎麦茶を出す。

「轟社長、ご注文何にします?」

お父さんが営業スマイルで轟社長に注文を取る。

お父さんの手は、赤く腫れていて休憩中に掻き毟ったのか所々ミミズ腫れしている。

昔よりずっと酷くなってる…

私は仕事用エプロンを身につけて手を洗い、厨房へと入る。

『お父さん、私が打つから良いよ』

「あぁ、そうか?」

その手を見て胸が締め付けられる思いを抱えながら、水回しをはじめる。

一つ一つ丁寧に仕事をこなして蕎麦を茹で上げる。

轟社長はそんな私の仕事姿をじっと見つめている。

「どうだい?仕事してる時の雪乃ちゃんかっこいいだろ?」

従業員の田中さんが轟社長に話しかける。

「はい、仕事してる雪乃は…綺麗です。凛としてて、情熱的で、美しい。一生見ていられます。」

恍惚とした表情で息が荒くなる轟社長を見て田中さんもコイツヤバい奴だと思ったのかスッと引いていった。

お父さんは、冷凍庫から氷嚢を取り出して腕に当てる

「女将さん、店長の腕…最近酷くなってきてますよね?」

「田中さんも気付いてたんだね、昔から薬飲んでるんだけど…毎日そば打ちしてるから悪化していってるのよ」

「大丈夫…ですかね?店長」

「さあね、でもあの人の好きなようにやらせてあげるしかないわ」

怪訝な表情で蕎麦茶をすする轟社長。

蕎麦は20分ほどで完成し、轟社長の元へ運ぶ。

『お待たせしました。ざる蕎麦です。』

「美味そう…」

『召し上がれ』

「今の召し上がれっての、良いな!もう一回言ってくれ」

轟社長はボイスレコーダーを用意して顔を赤らめる

『もう言いませんっ!!』

少ししょんぼりした顔で蕎麦に向き直り割り箸を割って蕎麦を食べはじめる。

「っ!美味い…いつも食堂で食ってる蕎麦より美味い!!」

『当たり前です!食堂の蕎麦粉とうちの店の蕎麦粉は調合がちがうんですから!食堂のは繋ぎ多めの7割蕎麦で、うちの店のは10割蕎麦です!』

うちの店には二八蕎麦も有りますけどね!と付け加えるが轟社長は何かに取り憑かれたように黙々と蕎麦をすする。

人の話なんて聞いてないな、私もそういうところあるけど…
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