【ヒロアカ 】変態に好かれても良いことなんてない!【轟焦凍】
第11章 この気持ちは何なの?
絶対ラブホだ!何処となくそう察知した私はどう逃げようかをひたすら考える
実家に連絡入れて帰って来いって言われたら帰らざるを得ない!
自力で何とかするよりここは第三者の力を借りようと思った私は、鞄の中から携帯を取り出す。
『あの、実家に一応連絡入れたいんですけど…昨日帰らなかったから心配してるかもしれませんし』
「その必要はない」
『…どういう事ですか?』
「雪乃の実家にはもう連絡してある。二日ほどお嬢さんをお借りしますって言ったら雪乃のお母さんがそのまま嫁にもらってやってくださいって言ってくれたからな」
『お母さん…娘を変態に売り渡すだなんて』
私は肩を落として絶望した。
だから今日一日実家から電話やLINEが一件もなかったのね…
『…変態に好かれても良いことなんて無いわ』
ボソッと愚痴を溢したと同時に着いたぞと聞こえて外を見る
そこはラブホではなく海だった。
手錠が外され、助手席のドアを開けてもらって私は外へ出る。
『……海?』
「あぁ」
誰もいない海岸に陽の光が反射してキラキラしている
『綺麗…』
「…気に入ったか?」
『はい、良いところですね』
「ここは海流の流れで漂着物が多くてな、そこにつけ込んで不法投棄もまかり通っていた海だったんだ」
『え、そうなんですか?』
「パトロール中偶然見つけて仕事の合間にここに来ては地道に綺麗にしていって数日前やっと今の状態まで綺麗にできたから、雪乃に1番に見てもらいたかったんだ」
そう言って微笑む轟社長は私が今まで見たどの顔よりも美しくて不覚にもドキッとした。
『ありがとうございます…』
「元々海蛍が来る海域でもあるから綺麗になったこの海に、今年の夏は海蛍が帰ってきてくれるかも知れねぇな」
『夏になったら、またここに来て海蛍一緒に見ましょうね』
「…良いのか?」
『それくらい良いですよ』
「ありがとう、約束だ」
『はい』
海を見て足をつけて少し遊んだ後轟社長は私を自宅まで送ってくれた。
『今日はありがとうございました』
「次は何処に行きたい?」
『次…ですか?』
「あぁ、考えておいてくれ」
私を降ろした轟社長は車を走らせて夕焼けに消えた。
今までの変態で強引な顔とは違う轟社長の素顔を見てドキドキが止まらない…この気持ちは何なの?