第4章 +アルファ/夢主はイルミの幼馴染
「……」
「やっぱりほんとは見たかった?」
「……」
「ユイもそんな年頃になったんだね」
「……」
「家に連絡したの?飛行機が欠便になった事」
「あっ そうだった」
ころっと表情を戻すユイは バッグから携帯を取り出すと再びベッドの枕元にちょこっと座り込んだ。
両手を使い母親へのメール連絡を終える、ユイは細く長い息を吐いた。
嫌でも甦る先程の淫らな光景と甲高い女の声が頭に流れて止まらない、ユイは眉間に深い皺を刻んだ。
何度か映像を脳内再生した後、ちらりとイルミに目を向けてみる。
「…………。」
暇があればスマホを触ってばかりに見えるが イルミは一応いい大人、そしてどちらかといえばその辺りに精通した仕事をしているはずだ。ユイは気まずそうな声で質問を投げた。
「…ねえ イル兄」
「なに」
「…その、ああいう時ってそういう風になるの?」
「そういうって?」
「ええと、」
“恥ずかし気もなく脚を広げて女性の方から男性に跨るものなのか。裸を見せる事に羞恥心はないのか。首や胸を舐められる事に嫌悪感はないのか。そもそもあんなにも大きく乱れた声で叫ぶ必要はあるのだろうか。”
訊きたい事だらけなのだが素直な単語のままで言うには、正直難易度が高かった。
「………やっぱ無理。絶対無理」
「何が?」
いずれ好きな人が出来たなら 愛し合う先にああいう事情がある事くらいは知っている。ただ、想像の中でしかなかった行為を目の当たりにすると あまりの生々しさにどうしても開いた口が塞がらなかった。
「……私あんなの出来ない」
「出来るは出来るんじゃない?身体の構造上」
「あんな声出ない。あんな風にぐるぐる腰動かない。」
「その辺は個人差があるよ。てゆうかああいうのは観賞用に作られてるから」
「あれの何が楽しいの?」
「楽しいって言うか、一般的には気持ちいい?」
「痛いよ絶対。絶っっ対痛い」
「最初はそうかもね」
「あの人達は最後はどうなるの?」
「男がイッて終わりじゃない?」
「イくってなに?イっちゃうって?どこに?なにが?どうなるの?」
「そろそろ返答に困るな」