第4章 +アルファ/夢主はイルミの幼馴染
いい加減 イルミはスマホから目を離す。きっと今しがたの解説も虚しく おそらくユイはこの会話の半分も理解出来ていないであろう。
ユイは顔をしかめながら じっとこちらを伺ったままだった。
イルミは小さく息をつく。そもそもそんな気は少しもなかったと言うのに これではそういう事を考えるなという方が無理な話である。
「ユイ」
「なに?」
「忠告しておくけど」
「忠告…?」
「その手の話題は相手を見て振るべきだと思うよ」
「え、…?」
謎の課外授業に付き合わされるのはつくづく勘弁願いたい、イルミはその場を立ち上がるとユイの座る枕元へ近付いた。
「な、なに…?」
いつの間にか 目の前に立つイルミの影に身体がすっぽり収まっていた、ユイは不安そうにイルミを見上げた。
「そんなに興味あるなら自分で勉強して覚えたらいいよ」
「いやっ、別にあたし…知りたい訳じゃ…」
「ほら」
「えっ」
「さっきのはチャンネル8ね」
イルミにリモコンを手渡される。イルミは何事もなかったかのようにその場を去って行った。
「オレが風呂に入ってる間好きなだけ見てなよ」
「な!!み、見ないもん!見たくないし!」
「はいはい」
「見ない!絶対に見ない!!」
後ろからああだこうだと言い訳をするユイを無視したまま イルミは洗面所に姿を消した。