第4章 +アルファ/夢主はイルミの幼馴染
店の外に出ると 想像以上に空は暗く空気はどんより湿っていた。頭の中で迷う事象は今のユイにとっては全てが都会のせいとなるので、すっきりしない天気は排気ガスに汚れた空気のせいなのだろうと勝手に決めつけていた。
「イル兄 今日は本当にありがとう。お仕事頑張ってね!」
礼を述べた次の瞬間、淀んだ空を蜘蛛の巣状に割る青白い光がユイの目に映る。 刹那遅れて激しい雷鳴に鼓膜が震えた。ユイはすぐに空を見上げた。
「わっ、びっくりした…」
「雷?珍しいね」
いくら都会といえど こういう予想不可事態の時は皆同じ空の元、一体感が生まれるらしい。イルミも含め 大通りをひしめかせる人という人の殆どが足を止め空を見上げていた。
ユイは暗い空からイルミに視線をずらした。
「ハワージェラルは今日雨予報だったの?」
「さあ。そんな事なかったと思うけど」
イルミはすぐにスマホを操作しだす。周りの人間もあれやこれやと言いながら 同じ事をしている様子が見受けられた。
黙ったままイルミを見上げていると 空に第二波が起こる。どんどん辺りが暗くなる気がするし 風が吹いてきたように思えた。
「…わ、嫌な感じだね…」
「大型低気圧が急発達だって。今夜は大荒れになるって」
「ウソ?!」
余りにも予想外な展開に ユイは焦った声を出した。
「どうしよう あたし傘持ってきてない!」
「傘くらい買えばいいけど」
「あ、なるほど」
「荒れた天気の中だと傘は無意味だと思うけどね」
「そっか、そうだね、困ったな…」
今にも大雨が降りそうで ざわつく周りの人達は皆、駅へ店へと脚を急がせはじめる。それに乗り ユイは早口でイルミに言った。
「イル兄 あたし雨降る前に行くね!今日はありがとう じゃあね」
「待って ユイ」
「なに?早くしないと雨ふるよ イル兄も濡れちゃうよ」
「飛行機飛ぶの?こんな天候の中」
「え、……」
確かにどうなのだろう。ただそれを知る術がわからない、ユイは動揺を浮かべていた。
「わかんない、どうしよう…」
「調べたら?」
「あ、そっか、そうだね」
とりあえずバッグから携帯と航空券を取り出してみた。