• テキストサイズ

〈H×H パロ〉ホストクラブ【幻影旅団】

第4章 +アルファ/夢主はイルミの幼馴染


昔から、イルミの持つ眼力には不思議な示唆が含まれる気がする。見つめると表現するには情熱に欠けるし、睨むというには鋭利さが足りない。

今この瞬間、穴が空く程見られているのは事実なのだが 結局の所まばたきすらない視線になんと名前を付けたらよいのか ユイにはわからなかった。向かいの席に座るイルミは微動だにせぬまま 拳を緩く丸め 頬杖をついている。
結局はユイの方からこのきまづい沈黙を破るしかなかった。

「……イル兄」

「なに?」

「あんまり見られるとなんかその 恥ずかしいんだけど…」

「随分変わるものだなと思って」

「え」

「ニナはやっぱりプロだな」

微妙な褒め方をするイルミの賞賛の先は ニナの仕事品質についてらしかった。ここでようやくイルミの眼から解放される。
ニナの元で用件を終えた後、2人は 美容サロンの面する通りの先にある洋食バルの中にいた。

気付けば時刻は夕方にさしかかる。夕食には少し早いが帰宅時間のあるユイにはこれくらいでも問題なかろうと 食事をするとこになったのだった。
洒落た店内は薄暗く周りの客達はアルコールを嗜んでおり 落ち着いた雰囲気が漂っている。ユイが入るには年齢層が高めな気もするし 、ユイはキョロキョロ周りを見渡していた。

「…あたし浮いてない?」

「そんなことないよ」

「未成年でもこういう所に入っていいのかな?」

「いいんじゃないの?指摘されないってことは」

イルミは縦長の見にくいメニューを一瞥しながら これからのスケジュールの目安を立てた。

「ここでさくっと食事して駅に向かえば時間に余裕もあるしちょうどいいよ。大通り沿いに歩けば駅に出るから」

「うん」

「オレは仕事だから逆方向行くけど」

「そっか」

「勧誘にあっても着いて行かないようにね。他人は皆何か企んでると思いなよ」

「皆って、…」

「いいね?」

「うん、」

この街はこれだけ人に溢れていて 行き交う人々は皆綺麗に着飾り魅力的に見えるのに。有無を言わさぬ響きを持つイルミの教えは、期待に胸を弾ませこの街へ出てきたユイには少し悲しく映った。

「ユイは何にする?注文」

イルミの声を受け、慌ててメニューに目を向けた。

/ 137ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp