第4章 +アルファ/夢主はイルミの幼馴染
「……。」
見慣れないし似合っているとは思えないが、服の放つ空気感に似せ ふんわり不思議な気持ちになった。
イルミはユイをどう思うのか、それが気になり表情を伺った。
「うーん。やっぱりなんか違和感がある」
「え、…」
イルミは隣りに立つショップ店員に視線を落とし、腕を組んだ。
「ねえ、なんか違うよね なんだろう」
「お似合いだと思いますよ?雰囲気にもよく合っていますし」
「質問が悪かったかな。例えばユイがこの店の新人バイトだったら何をアドバイスする?」
「アドバイス…ですか」
客への定文化された美辞麗句ではなく 的確な回答を得るための質問をするイルミを見上げ、店員は再びクスクス笑いながらユイに話し掛けた。
「気を悪くしないで聞いて欲しいんだけど。その服をもっと可愛く着こなす為って事で、」
「?…はい…」
「お客様は若いのにヘアスタイルが残念すぎます。ヘアゴム一本でのアレンジもないまとめただけのヘアスタイルでは勿体ないです」
「…はあ…」
「ちょーっと野暮ったく見えるというか、って事ですね。」
「………そ、ですか………」
面と向かって言われればさすがに 落ち込むではないか。肩を揺らして笑う動作までキュートな店員に、イルミが言った。
「髪型ね なるほど」
「お役に立てたなら良かったです」
「タグ切ってくれる?着せて行くから」
「かしこまりました」
「………。」
都会は本当にすごい所である。例えばとびきりの可愛い子ならば 試着と同時に堂々とその服を着て店を去るのも絵になるが。どうやら ただの一般人がそんな事をしても許されるようである。
放心状態のユイをそのままに、ちゃっかり名刺らしきものをその女性店員に手渡した後、イルミは勝手に会計を済ませ 元の服を入れるショップバッグやらを見下ろしていた。