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〈H×H パロ〉ホストクラブ【幻影旅団】

第4章 +アルファ/夢主はイルミの幼馴染


知り合いな上に今は連れであるのだが そこに優越感は微塵もない。ひたすらきまづいだけだった。

他人のふりをしたいとは本当はこういう時に使う台詞なのではなかろうか、ユイは店の隅の方へ足を進めようとした。

「ユイ おいで」

「……」

「ユイ」

「……」

ユイの心中を察しもしないイルミはすこぶる嫌なタイミングで手招きをしてくる。
ユイは仕方なく 顔を下げながら小走りでイルミに近付いた。女のコ達の声はあえて聞こえないフリを決め込むしかなかった。

「イル兄 あたしやっぱりこの服でいい…こんな高いお店のお洋服なんて買えないしどうせ似合わないし」

「あれどう?」

「え、」

「あれ」

下を向いていたせいで気付かなかったが 腰を屈めてユイと平行に視線を向けるイルミの顔がいつの間にか真横にあった。人差し指が示す先には一体のマネキンがある。
女のコらしい白いワンピース、一言で言えばそんな服だった。

「ええっなに?あの服を?誰が着るの?!」

「オレが着ると思う?雰囲気的にはユイに似合いそうだけど」

「無理だよスカートなんか!絶対無理っ白なんて山で汚しちゃうし!木の枝で破いちゃいそう!」

「いつの頃の話をしてるワケ」

本人の了承もなしに勝手に店員に目配せをするイルミはその場で試着交渉を始めてしまう。
こんな可愛い洋服着られる訳がない、というか着たくない。かっこ良く生きたいと思っているわけではないが、笑い物になるのは誰だってごめんである。


「ごゆっくりどうぞ」

ユイの気持ちは無視されたまま マネキン顔負けのスタイルを誇る店員にワンピースを手渡され、試着室に追い込まれた。まさか我が人生にこんなブランド服に袖を通す日が来ようとは夢にも思わなかったわけで、悪い意味で胸がどきどきと高鳴った。

恐る恐る生地を撫でてみる。柔らかい素材で仕立てられた服は 胸元が綺麗な形にカットされた 大人しいフレアラインのワンピースだった。小さなレースが上品にあしらわれており 見ているだけで深い溜息しか出て来ない。
ユイは両手で服をつまみながら 同じ事を繰り返していた。


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