第1章 ホスト遊び/夢主はお客様
しばらくはドキドキしてたけど、少し酔いが回ってきたら 密着したシャルの身体の感触が心地いいと感じられるようになってきていた。
シャルは素早くやってきた黒服従業員とこっそり何か話をした後、私の肩に甘えるようにもたれかかってくる。
「ユイ ごめんね。少し外すよ?」
「え…?」
「ユイが寂しくないようにすぐに誰か来させるから。…でもその間も、オレを忘れちゃダメだからね?」
頬に触れるシャル髪はサラサラしていて柔らかくて。
加えて清潔そうなとっても良い香り。
またも心臓が高鳴り、私は少し酔っていたせいもあって私にしてはとても大胆なことをした。
ほんとに軽くだけ シャルのスーツをキュッと握った。仕立ての良さそうな生地だった。
「…もう、あんま可愛い事しないで?名残惜しいじゃん」
シャルは私の頭をなでた。
「ユイ ごち!楽しんでね!」
シャルはぱちんとウインクを決めてその場を笑顔で去って行った。
どこまでもほんとのアイドルみたいな人だなあ、なんて感心してしまう。
シャルの背中を目で追っていた私に ヒソカがフォローを入れるように話してくれた。
「あれでシャルはこのフロアの総監督だから。忙しいんだよ」
「そうなんだ……」
「でも結構キミのことは気に入ったみたいだからもしかしたらまた来るカモ」
「えっ?!」
「まぁあんまり期待はせずにね。きっと次イイのつけてくれると思うよ?」
「シャルってさぁ〜やり口はベタだけど人気ハンパないよねー やっぱ顔?」
グラスを傾けながらリネルさんが高い声を挟んできた。
「次が来るまではボクがお相手するよ♡ユイもこっちおいで?」
「やだっダメぇ!!ヒソカは私の!」
「なんだよリネルは。本当にやきもち焼きだなァ」
いつの間に頼んだのだろう。
そのお皿に対して量が少な過ぎやしないかと突っ込みたいフルーツの盛り合わせからブドウを一粒指先に摘まんだヒソカは、リネルさんの口にそれを運んでいた。