第1章 ホスト遊び/夢主はお客様
「ねぇ ユイちゃんは彼氏いないの?」
シャルの声に我に帰った。
というか、シャルはごく自然に私の肩を抱いていた。
少しだけ引き寄せられると 触れる身体からシャルの体温と香水の香りがする。
思いのほかしっかりした身体つきまで伝わってくる。
この時、私の顔は相当赤かったと思う。
「最近…フられちゃって…」
「えー!もったいない そのオトコ馬鹿なことしたねー!」
「え?」
「……オレだったら死んでも離さないもん。こんなかわいいコ」
シャルには不敵な表情もよく似合っていた。
王子様みたいな綺麗な顔が目の前に迫り、私の心臓はとにかくバクバク本気でうるさかった。
「別に か、かわいくなんてないよ、…」
「わかってないねー かわいいよ?」
恐ろしく違和感もなきままに、耳元に口を寄せられる。
シャルの声が少し低くなる。
「……今さ オレ相手にすっごくドキドキしてるでしょ。そういう所……かわいくて、ヤバい」
からかわれているとはわかっていても、耳元で甘く囁かれるとそれを笑い飛ばすなんて出来るはずもない。
私は恥ずかしくなりシャルから身体を離した。
顔が熱くて仕方なかった。
「……ごめんごめん!あんまり反応かわいくてつい。ユイ怒らないで?」
イタズラそうに舌先をちらりと見せて微笑むシャル。
何をどうしていいかもわからず、私は手元にあったお酒を一気に飲み干した。
そういえばさりげなく呼び捨てにされてたな……