第3章 今日も夜が来る/小話集め
19.相手のYシャツ/クロロ
「クロロって身体のどこかに刺青してるってホント?」
返ってくるのは余裕な笑み。
「してみるか?ボディチェック」
悠然と構える姿に おいそれと手なんか出せる訳もなく。それでも恐る恐るネクタイに人差し指を引っ掛けてみる。
「刺青というのは1度入れると完全に消すのは困難だ。つまり入れるにはそれなりの覚悟が必要ってワケだ」
意味深な台詞と共に、彼の胸元で止まったままの手に掌を重ねられる。ゆっくり下へと降ろされれば ネクタイは原形を崩してしまう。
「どうした…しないのか?」
許可は出ているのに。視線は相手のYシャツの襟から離せないままだった。