第3章 今日も夜が来る/小話集め
16.一言だけのメール/イルミ
『また会いたいな』
そのメールは虚言であり真意は全くもって別の所にあるのを知っているのに。
まるで呪いの言葉だ。その一言で 私はまた彼の姿が見たくて彼の声が聴きたくて、彼の一挙手一投足の全てを脳内に刻みたくて仕方なくなって。
嘘を嘘と知りながら嘘の時間を共有する為に生きてる私が 神様に誓える真実は一つだけ。
「私は嘘つきではありません。嘘に気付かぬフリをして嘘を受け入れているだけなんです。どうか神様 嘘でもいいから私に彼を下さい。」
こんなにも人を好きになった事がないんです。